【先行連載】サバイバー!! 第7回
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【先行連載】サバイバー!! 第7回

角川つばさ文庫で8月発売の新シリーズ「サバイバー!!」を一足早く公開中!

「うおぉぉぉ~~~っ!」
 うてなが全力ダッシュで突進してくる!
 あたしは両うでをカベにつき、背中をうてなに向け、準備バンゼン!
 彼女があたしの背をふみ台に、えいやっとカベのてっぺんに手をかける——はずが。
「うぉあああ~~っ?」
 気のぬけた声がうしろに響いた。
 五メートルも離れたとこで、うてながべちゃっと地面にツブれてる!
「うてなっ!?」
 むくっと起きた彼女のところに、涼りょう馬まくんが歩みよる。
 彼女の足首に指でふれたあと。
「楽がくさーん、ねんざです。ケガ人一名、保健室お願いします」
「ほーい」
 ひょいっと楽さんの小ワキに抱えられていく子ネコ。ならぬ、うてな。
「うてなっ、大丈夫!?」
 駆けよろうとしたあたしをさえぎり、涼馬くんが仁王だちになった。
「大丈夫か心配したほうがいいのは、自分のほうだろ。ビリっけつ」
 眉をあげた彼は、あきれた目の色だ。
 あたしは左右を見まわし、さらに校庭を見まわす。
 そしたら正門のあたりに、とっくに着がえ終わって、しかも帰りの荷物まで背おってる、みんなの姿が!
 彼らはあたしを同情の目でながめてから、手をふって門を出ていく。
「みんな、いつの間にクリアしてたのっ!?」
「マメちゃぁん、ごめん~~っ。あとはたのんだぁ~~……」
 うてなの最期の声が、涼馬くんのカラダの陰に遠ざかってゆく。
 風が木の葉をまきこんで、ぴゅううっと吹きさっていった。
 あたしはその場にカクッとヒザをつく。
「いいか、双ふた葉ばマメ。アタッカーってのは、現場でイチバン前に立って働く担当パートだ。テロの時には敵と戦い、火事の現場でもまっさきに突入する。そのアタッカーが、カベも登れずにモタモタしてたら、要救助者を救けるどころか、自分が死ぬぞ」
 死ぬ——。
 大っキライな言葉に、ビクッと肩がふるえた。
 あたしは砂をつかみ、涼馬くんを強く見上げる。
「そんなのイヤだ。あたし、死なせないし、死にたくないっ!」
「……ふーん? 言うことはいっちょまえだな」
 涼馬くんの瞳が、さらに温度を下げる。
「なら、ちょーどいいや。『サバイバーになるのが夢で、向いてなくたって、あきらめない』って、あんたのカクゴ。ここでポッキリ折ってやるよ」
 決意を折るなんて言われて、引きさがれるワケない。
 あたしはかならずサバイバーになって、ノドカ兄に追いつくって決めてるんだ。
 それに、どうしてもS組にいなきゃいけない目的もあるんだから……っ。
「……ううん、ゼッタイに折られない」
 すでに体力も精神力も、ゲンカイ突破。
 だけど両ヒザをパンッとたたき、ムリやり立ちあがった。


「注意アテンション! ゴー!」
「了解ラジャー!」
 涼馬くんの合図に、全力で応える!
 彼はカベのまんなかあたりをタンッとけり、てっぺんに両手をかける。
 踏み台もなしの助走なしで、あのジャンプ力!
 あたしのほうはカウントをはじめた。
「3!」
 涼馬くんはひょいっ体を持ちあげ、カベのてっぺんに着地。
 同時にあたしは、五メートルはなれた位置から、全力ダッシュだ!
「2!」
 カベのまえで思いっきり踏みきり、大きくジャンプ!
 ふり返った涼馬くんが、うでを突きだしてくる!
「「1ッ!」」
 二人で声を重ねた!
 カベのまんなかをけりあげ、彼の手を目がけて、まっすぐに体をのばす!
 あたしと彼の指先が、ぐんっと近づき——!
すかっ。
「あれっ?」
 あとわずか一センチのところで、あたしは何にもない宙をつかむ!
「アアアアアッ~~!」
 重力に引っぱられ、そのまま地面へ!
 砂ぼこりを巻きあげて、またおしりから着地しちゃった!
「痛ったぁ……っ」
「三十二本め、失敗。なんでこんな何度やっても、タイミング合わないんだろうな」
 目のまえに、涼馬くんがカルい身のこなしで着地した。
 彼は助けおこそうとしてくれたのか、手をさし出しかけて。
 ハッと我にかえって、うでを引っこめる。
 けどあたしのほうだって、じんじん痛む腰にムチうって、自力でズバッと立ちあがった。
「まだやんのか?」
「もちろんです! お願いします、リーダー!」
 したたり落ちてきたアセを、ぐいっと手の甲でぬぐう。
「……あっそ」
 涼馬くんはあきれてる半分、おもしろがってる半分って顔だ。
「うわさの〝担当ナシ〟さん、根性はスゴイわね……」
「今まで一人もいなかったよなぁ、担当ナシって。あのノドカさんの妹ってホントかな。試験官はプロの教官だし、『あの人』もいたらしいし? どっかしら、光るとこはあったハズだけど」
「わたしにも解析不可能だわ」
「失礼なっ。マメちゃんは、正気をうたがうくらいのガンバリ屋さんなんですよっ」
「アハハ。うてなちゃん、フォローしてんの、それ?」
 ほかのリーダーさん二人と、うてなのぷりぷり怒る声。
 手当てを受けてもどってきた彼女と楽さんに、くわえて七なな海みさん。
 三人は缶ジュースとポテトチップスのふくろを朝礼台に広げて、ほのぼのお茶会中だ。
「三十三本め、行きますっ!」
ダダダダッ、ダンッ!
すかっ、どしゃっ。
 あたしはふたたび重力に敗北した。
「……………………なんで! 涼馬くん、わざとタイミングずらしたりしてないっ!?」
「してねーよ」
 カベの上から、タメ息がふってくる。
「じゃー、ぼくらはそろそろお先に」
 楽さんたちが夕暮れ空を見上げて、立ちあがった。
「涼馬も、寮の夕ごはんタイムが終わるまえに帰っておいでよ。うてなちゃんとマメちゃんは、自分ちから通学だっけ? 暗くなるから、はやく帰んなさいね」
「はーい。でもボクは、マメちゃんが終わったら、いっしょに帰りまーす」
「うてなさんは、家でロープワークをやってください。あなた、一番おそかったです……」
 ぎくうっと肩をすくめたうてなも、しぶしぶ腰を持ちあげた。
「うてなー、つきあわせてゴメンねーっ。帰り道、ひとりで歩けそう~っ?」
「だいじょぶ、電話でパパ呼ぶから。リョーマ、ボクのマメちゃんいじめんなよ!」
 うてなは涼馬くんにイーッと歯をむきだす。
「さーな、コイツしだい。楽さぁーん、おれのぶんの夕メシ、部屋に置いといてください」
「「まだやんの」」
 ほっぺたをケイレンさせた、うてなと楽さん。
「S組のSは、サバイバーのSじゃなくて、スパルタのS……」
 七海さんは名言をのこし、二人とともに歩みさっていく。
 ……リーダーって、キャラが濃くないとなれないのかな
カァ、カァ、カァ。
 巣に帰っていくカラスたちの影が、足もとを横ぎっていく。
 とうとう、涼馬くんと二人きりになってしまった。
「どーするよ。双葉マメ」
「三十四本めっ! お願いします!」
 がくぶる震える足をパンッとたたき。
 あたしはふたたび、フルパワーでカベへと駆ける!

すかっ。どしゃっ。


<第8回へつづく> 
次回の更新は7月24日(土)を予定しているよ☆
楽しみに待っててね!

※実際の書籍と内容が一部変更になることがあります。

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★第5回の感想だよ!
七海さんの声が小さくて、ボソボソしている所がめっちゃおもしろかったです!
マメが訓練頑張っている姿が浮かんでくるきて ガンバレーって思っちゃう
続きが気になります! お兄ちゃんも出てきて欲しいな

★第6回の感想だよ!
話がおもしろくて、うてなちゃんが頑張ってて最高でした!
涼馬さんがとってもさわやかに言ったところがおもしろい
うてなの動きがすごかった!!さすが守のAランク
楽さんが倒れてうてなたちが助けるところが好きです♪

ほかにももりだくさん! 全部読んでいます♡ みんなありがとうー!
第8回では、S組スタートから1週間が経過して――?

「ハイ・ウォール、今日こそはとびこえるよ」

おたのしみに!

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