子どもの発達お悩み相談室 第8回 「いくら教えても、決まりが守れません。わがままで将来が心配。」
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子どもの発達お悩み相談室 第8回 「いくら教えても、決まりが守れません。わがままで将来が心配。」

みなさまが、小学生以下のお子さまを育てていて、「うちの子ちょっと変わってる?」と思い、お子さまの発達などに関してご心配になっていること、お悩みになっていること、お気づきになったことなどについて、脳科学者の久保田競先生と、その弟子で児童発達研究者の原田妙子先生が児童の脳や発達の最新研究をもとに回答します。

Q8.いくら教えても、決まりが守れません。わがままで将来が心配。

■家族構成
相談者:ちえみん(相談したい子の母、30代前半)、夫(30代前半)、長男(相談したい子。5歳)

■ご相談
 ASDの可能性があると言われている息子は、いくら教えてもルールが守れません。脱いだ服を洗濯カゴに入れる、食べたお皿をキッチンに持って行く、ブランコでは順番を待つ、といった基本的なことなのに。私も何度も同じことを言いたくないのですが、たまに言われた通りやることはあっても、たいていはやらないので、つい、大きな声で怒ってしまいます。特にブランコの順番など、女の子が待っているのに、空いたら平気でわりこんで乗ります。「この女の子が先に待っているからダメでしょっ」と言って、列の後ろに並べさせるのですが、次にまた同じように待っている子を無視して乗ろうとするのです。「ルールが守れない子は公園では遊べませんっ」と引きずって帰ったこともあります。

 うちの息子はどうしてこんなにわがままなのでしょうか。このままだと将来が心配でたまりません。

A.専門家の回答

指示を具体的かつ明確に伝えてみてください。
 順番に待てない息子さんのことを、ちえみんさんは心配されているのですね。ちょっと気になったのですが、息子さんは、もしかしたら言われたことを「そのまま」受け取っているのではないでしょうか。

言葉どおりに理解しているかも
 最初にブランコの順番を待っている女の子がいたときに、ちえみんさんが「“この女の子”が待っているからダメでしょ」と言ったんですよね。息子さんは「この女の子」が待っているときは、その後ろに並ばないといけない、と理解したのかもしれません。つまり、他の子が待っているときには、並ばなくてもいい、と受けとったのではないでしょうか。

 ASD特性のひとつに「言われたことをそのまま理解し、応用したり、言外の意味をくみとるのは苦手」というものがあります。

 よく言われるのが、「お風呂見ててね」と言うと、お風呂にお湯がたまってあふれていくのをずっと「見てる」、ということ。「お風呂にお湯を入れているので、そのお湯がこの線まできたら止めてね」と詳しく具体的に言わないと、指示されたことが理解できないのです。

 脱いだ服も、もしかしたらお風呂場で脱いだ服だけ洗濯カゴに入れればよくて、リビングで脱いだ服は洗濯カゴに入れなくてよいと理解しているのかもしれません。キッチンに持っていくのは「食べ終わったお皿」だけで、お茶碗やお箸は持っていかない、と思っているのかもしれません。そう考えると、息子さんはけっして「わがまま」なわけではなく、むしろ言われたこと「だけ」を忠実に守るお子さんなのではないでしょうか。

 通常の場合ですと「え? そんなことある?」と思われそうですが、ASDの場合、相手の言いたいこと、してもらいたいことを想像して行動することがとても苦手なのです。自分の見たこと、聞いたことは理解しますが、相手の立場に立って考えたり行動したりということが不得手、という特性があります。

 ですから「なんでできないのっ」と怒る前に、指示を明確に伝えるようにしてみてください。家で親御さんたちがしがちな「あれとって」「ほらあ、そこにあるじゃないの」というのは通じないと思ったほうがいいでしょう。その代わりに、わかりやすく、具体的に伝えれば、きっといつまでもそのルールを守ってくれると思います。

 また、お子さんによっては、視覚情報で伝えたほうが理解しやすい、という場合もあります。絵や写真を見せながら、「この写真のように、本は本だなに立てて入れて、エンピツはエンピツ立ての中に入れようね」などと伝えるのもよいと思います。小学校でも、体育館のマットのしまい方や理科室の器具の置き方など写真を貼って、子どもたちに見せているところがあります。ASD特性のあるなしにかかわらず、初めての人にも伝わりやすい方法ですね。

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久保田競先生
1932年大阪生まれ。
東京大学医学部卒業後、同大学院で脳神経生理学を学ぶ。米国留学で最先端の研究を身につけ、帰国後は京都大学霊長類研究所で教授・所長を歴任。
『バカはなおせる 脳を鍛える習慣、悪くする習慣』『天才脳を育てる3・4・5歳教育』『あなたの脳が9割変わる!超「朝活」法』等、脳に関する著書多数。

原田妙子先生
福岡大学体育学部修士課程卒業後、久保田競に師事し博士号取得。海外特別研究員としてフランス国立科学研究センター(College France CNRS)認知行動生理学研究室、パリ第六大学 脳イメージング・運動制御研究室を経て、現在は浜松医科大学 子どものこころの発達研究センターの助教。専門は子どもの脳機能発達。

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