子どもの発達お悩み相談室 第17回 「6歳の息子。感覚過敏、失敗を嫌がる、一人遊びなど、自閉の傾向があるのでは?」
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子どもの発達お悩み相談室 第17回 「6歳の息子。感覚過敏、失敗を嫌がる、一人遊びなど、自閉の傾向があるのでは?」

みなさまが、小学生以下のお子さまを育てていて、「うちの子ちょっと変わってる?」と思い、お子さまの発達などに関してご心配になっていること、お悩みになっていること、お気づきになったことなどについて、脳科学者の久保田競先生と、その弟子で児童発達研究者の原田妙子先生が児童の脳や発達の最新研究をもとに回答します。

Q17.6歳の息子。感覚過敏、失敗を嫌がる、一人遊びなど、自閉の傾向があるのでは?

■家族構成
相談者:コンコン(相談したい子の母)、夫、長男(相談したい子。6歳)、長女、次女

■ご相談
 4歳まで汚れることを極端に嫌い、保育園で糊を指で塗ることを拒否。ボディペインティングも不参加、手足の型をとることも嫌がりました(5歳でできるようになりました)。食事中も手が汚れるのが嫌すぎて、手羽先など手を使って食べるものは食べません。

 失敗することを極端に嫌がるため、おむつを外すことを拒否。2歳のときに一度パンツで盛大に漏らして以来ぜったいにパンツをはかず、ようやくおむつを外すと本人が決めたのが4歳8か月でした。いまでも「失敗するのでは」「じょうずにできないのでは」と思うと、「○○くん(長男の名前)それは得意じゃない」と言ってチャレンジする前に避けようとします。

 真夏の猛暑日でも半ズボンは絶対に履かず、1年を通して長ズボンをはいています。

 自分の世界があり、友達と遊んでいても、友達の遊びに興味がないと一人で遊び始めます。保育園のクラス数十人で公園に行っても、友達と二人で公園で遊んでいても一人遊びを始めることがあります。保育園で指摘を受けたことはなく、検診などもクリアしていますが、調べれば調べるほど自閉の傾向があるのでは? と思ってしまいます。

A.専門家の回答

傾向があっても、困っていなければ問題なし

 感覚過敏は、確かに自閉症の一つの特徴ではありますが、感覚過敏があるからといって自閉症というわけではありません。過敏に加えて、人とのコミュニケーションの問題、こだわり行動が、自閉症の主な症状です。

本人や周りが困っているかどうかが大事
 息子さんの場合、確かに感覚の過敏さはあるように思います。グチャグチャしたのがきらいなのに盛大にお漏らししてしまうと、その嫌な感覚は強く焼きついて、恐怖感でおむつを外すのに慎重になるのもわかります。が、その後4歳でおむつも取れ、遅いけれども必要なことは完了しています。

 対人関係についても、友達とも遊べているようですし、一人で遊ぶことがあってもそれが問題ということではありません。自分の世界があるのは悪いことではないでしょう。「どうして一緒に遊ばないの? 遊びなさいよ」などの声かけも不要です。

 コンコンさんは、自閉傾向があるのでは? と気にされていますが、とりあえず今の段階では特に検診で何か言われたり、保育園で指摘を受けたりということもないようなので、心配の必要はないと思います。娘さんたちと比べると男の子の発達はゆっくりに見えますし、幼いふうに思われるので、心配になるのもわかりますが。

親が子どもの特性を理解しておくこと
 ただ、他の男のお子さんより慎重だったり、苦手なことがあったり、そういう特性はある子だなあとコンコンさんが理解しておくことが大切です。

 というのも、例えば小学校では粘土を使うこともあるので、息子さんがその活動に参加するため、お手拭きを持たせるとか手を洗わせてもらえるように、あらかじめ先生に伝えたりすることができるからです。

 また、長ズボンしかはかないとのことですが、小学校に入学し体育の授業でみんなが半ズボンという状況でも自分だけ長ズボンをはくでしょうか。周りとの兼ね合いよりも自分のこだわりを大事にするか。そこで周りや決まりごとに合わせられるかどうかも把握しておかれるといいと思います。

環境が変われば「障害」にならないことも
 発達障害には、ここまでは障害ではなく、ここからは障害、とはっきりとした境界線があるわけではありません。

 勉強はずば抜けてよくできるが、こだわりや対人関係に問題のあった自閉スペクトラム症のお子さんが、中学校は受験して勉強のよくできる、個性的な子たちが集まった学校に行くと、本人が大好きだった電車の話のできる仲間ができ、自閉スペクトラム症の診断基準から外れ、通院しなくてもよくなった、なんて話もあります。盛り上がる会話ができる友達のおかげで、コミュニケーション能力が培われたのでしょう。

 周りの環境に恵まれ、本人が困り感なく日々の生活を送れていれば問題はありません。

まずは親が子どもを丸ごと受け入れる
 発達の問題で大きいのは、本人の行動が周囲に理解されずにいじめられたりして、自己肯定感が持てなくなって、ますます問題行動をとってしまうことです。コンコンさんの息子さんが一人で遊んでいても、お友達がそれを放っておいてくれる環境があれば何も心配ありません。そこにお友達が入ってきて、息子さんが癇癪を起こしてお友達をケガさせたりすると、それは問題になります。

 そこで放っておいてくれそうなお友達が保育園にいるといいなと思います。コンコンさんとしては、これからの小学校、中学校選びにあたり、なるべく息子さんが受け入れられそうな環境を用意してあげられるといいですね。そのためにも、まずはコンコンさん自身が息子さんの個性を否定せず、人と違うところも丸ごと受け入れてあげてください。幼児期に無条件に親に受け入れられた経験があるかないかが、その後の人生に大きく関わってくるのです。

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久保田競先生
1932年大阪生まれ。
東京大学医学部卒業後、同大学院で脳神経生理学を学ぶ。米国留学で最先端の研究を身につけ、帰国後は京都大学霊長類研究所で教授・所長を歴任。
『バカはなおせる 脳を鍛える習慣、悪くする習慣』『天才脳を育てる3・4・5歳教育』『あなたの脳が9割変わる!超「朝活」法』等、脳に関する著書多数。

原田妙子先生
福岡大学体育学部修士課程卒業後、久保田競に師事し博士号取得。海外特別研究員としてフランス国立科学研究センター(College France CNRS)認知行動生理学研究室、パリ第六大学 脳イメージング・運動制御研究室を経て、現在は浜松医科大学 子どものこころの発達研究センターの助教。専門は子どもの脳機能発達。

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