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怪盗レッド THE FIRST 誰のために、戦うか? - 10.気になる有名人

累計125万部!つばさ文庫の超ヒットシリーズ「怪盗レッド」の最新書き下ろし単行本!『怪盗レッド THE FIRST 誰のために、戦うか?』のためし読み連載。

10.気になる有名人

 遊園地に出かけてから、1週間がたった。
 今週はとくに予定もない日曜日だから、僕は家で機械いじりをしたり、プログラミングの本を読んだりして過ごしていた。
 先週みたいに、だれかとわいわい騒ぐのも、意外と嫌ではなかったけれど、やっぱりこういうふうに1人で過ごすほうが、僕の性に合っている気がする。
 本がひと区切りついたところで、僕はリビングに向かう。
 リビングのダイニングテーブルでは、父さんがノートパソコンに向かっていた。
 集中しているようだったから、そのまま僕はソファのほうにいき、テレビをつける。
 やっていたのは、ニュースだ。
『……で1週間前に起きた強盗事件ですが、警察は犯人グループを逮捕した、と発表しました。このスピード解決には、高校生探偵の七尾蓮さんの協力が大きかったと警察関係者は語っています』
「高校生探偵?」
 そういえば、遊園地にいったとき、黄瀬さんが言っていた。
 たしか、芸能活動もしていて、遊園地のPRキャラクターをしているとか……。
 あのときは、興味がなかったから、気にもとめなかったけど。
「ここ半年ぐらいで頭角を現した、売り出し中の高校生探偵らしいな」
 父さんが、パソコンから顔をあげて応える。
「知ってるの?」
「圭一郎が、知らないほうが驚きだ。ニュースに限らず、雑誌やテレビにも出ていて、かっこよくて人当たりがいいっていうんで、女性にも大人気だそうだ」
「ずいぶん、くわしいね」
「そりゃ、調べるのがわたしの仕事だからな」
 そういえば、僕と生活することと引き替えに、紅月の里から、調査をまかされているんだったっけ。
 紅月の里の家業は、「義賊」だ。
 そして僕たちは、怪盗を自認している。
「怪盗」と「探偵」と言えば、物語の中でも「宿命のライバル」にされることが多い間柄だし……だから調査しているんだろうか。
「高校生探偵、か……」
 僕たち兄妹も、事件を解決したことはある。
 けど、人目を忍んでのことだし、解決したことは秘密だから、僕たちとは、大違いだ。
 1週間前におきた事件か。
 ちょうど、僕たちが遊園地に出かけた日だな。
 事件がおきたのは、家と遊園地の、ちょうど中間地点ぐらいの場所だ。
 事件が報道された直後は、気になって、新聞やネットで事件について少し追ったりもしていた。
 だからこそ、こうもあっさりと解決したことに、引っかかりを覚える。
 そんなに簡単な事件じゃなさそうだったけど……。
 ……この事件の解決、少し気になるな。

 次の日の朝。
 学校にいくと、いつものように、教室で黄瀬さんと会う。
「また、高校生探偵の七尾蓮が事件を解決したね! しかも、このけっこう近くでの事件だったよね!?」
 黄瀬さんは、さっそく昨日のニュースについて、話をふってくる。
「七尾蓮って、そんなに有名なの?」
 僕は、あえてきいてみる。
「有名だよ! この間は、雑誌の表紙をかざってたし、モデル顔負けの美形で、スタイルも抜群だから。芸能人なみだと思うよ」
 もちろん調査したけれど、こうやって身近な人に話をきいてみたほうが、有名さの度合いが伝わってくる。
 インターネットだけでは、つかめない部分だ。
「あっ! でもわたしのタイプじゃないというか……紅月先輩みたいなほうが……」
 黄瀬さんは、僕が考えている間に、1人でごにょごにょと言っている。
「わかってるよ。あ、そろそろ時間じゃない」
 僕は笑って言う。
「ほんとだ。いかなきゃ! またあとでね」
 黄瀬さんは、また元気よく教室を飛びだしていく。
 教室に1人になった僕は、本を開きながら窓の外を見る。
 ――人気者で、モデルのような美形で、しかもたちどころに事件を解決してしまう頭脳を持っている。
 天は二物を与えず、とは言うけれど、三物以上を与えられた人間がいたって、おかしくはない。
 ただ、父さんから話をきいたあと、自分なりに七尾蓮が解決した事件を、ざっと確認してみて……。
 どこか引っかかりを覚えたのだ。
 なにが、という確信はまったくない。
 ただのやっかみかもしれない。
 だけど、気になることをそのまま放置するのは、自分の性分に合わない。
「もう少し調べてみるか」
 だれもいない教室に、僕のつぶやきが、ぼそりとひびいた。

<第11章へつづく>

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