子どもの発達お悩み相談室 第5回 「後頭部が斜めなのが気になります。発達に影響は?」
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子どもの発達お悩み相談室 第5回 「後頭部が斜めなのが気になります。発達に影響は?」

みなさまが、小学生以下のお子さまを育てていて、「うちの子ちょっと変わってる?」と思い、お子さまの発達などに関してご心配になっていること、お悩みになっていること、お気づきになったことなどについて、脳科学者の久保田競先生と、その弟子で児童発達研究者の原田妙子先生が児童の脳や発達の最新研究をもとに回答します。

Q5.後頭部が斜めなのが気になります。発達に影響は?

■家族構成
相談者:いっくんママ(相談したい子の母、30代後半)、夫(40代前半)、長男、次男(相談したい子、1歳)

■ご相談
 小さいことでわざわざ病院に行くほどでもないかと思ってはいるのですが、少し不安になることがありますので相談させてください。

 一歳半の次男ですが、赤ちゃんの頃から後頭部の形が斜めになっていて、行政の健診や通院ついでにお医者さんに聞いてみても「そのうち治る」だったり「特に心配ない」と言われていますが、不安です。

 いわゆる「斜頭」というものだと思うのですが、今から治療しても完治は難しいですよね……。今のところ発達には問題がなさそうですが、斜頭で発達に問題が出るケースはどのくらいあるのでしょうか。頭をなでるたびに、つい気になってしまいます……。

A.専門家の回答

頭の形が斜めだからといって、発達に問題はありません。
 脳科学的に見て、頭の形が変だから脳の発達もおかしい、ということはありません。もっとも、頭の中にある髄液の障害により頭囲が異常に大きくなる水頭症や脳の発達が遅れる小頭症という病気はありますが、息子さんの場合は「特に心配ない」と言われている、とのことですので、おおらかに考えていただくのが良いかと思います。

 少し専門的な話をすると、赤ちゃんの頭蓋骨というのは、まだやわらかく、妊娠中や出産時に一定方向の力が加わることで変形することも多いのです。また、生後すぐの赤ちゃんは、寝ていることが多く、寝る姿勢によって頭の形が扁平気味になるということも、よく見られることです。病気ではありません。

 もしどうしても気にされるようでしたら、赤ちゃんにヘルメットのようなものをかぶせる治療法があります。生後4〜8ヶ月の赤ちゃんに半年程度装着させて、なるべく早いうちから頭の形を矯正する方法です。

 ただ、いろいろなものに好奇心をもって、見て触ってなめて確認していくこの時期に、絶対必要というわけでもないのに、長時間異物を装着して、不快な思いをさせてしまうのもどうなのか、という気もします。

 例えば、息子さんの頭の出っ張りをおさえるように枕を組み合わせて使用したり、真ん中に穴の開いた枕を使って扁平部分を矯正するなど工夫して、寝る時の姿勢を、少し変えてあげると変わってくることもあります。また、髪の毛がふさふさと生えてくれば、頭の形もそう気にならなくなるかもしれません。

乳幼児期に異常に大きくなるASD児の脳
 先ほどの頭の形ではないのですが、実は、2000年以降、頭囲と発達についてわかってきたことがあります。少し話はそれますが、ご紹介しておきましょう。

 ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんの頭囲は、誕生してすぐには平均より小さいことがあるのですが、その後、生後早期から2〜3歳にかけて、急激に大きくなることが判明しました。

 脳が大きくなるのは発達しているということで、よいことではないか、と思われるかもしれませんが、そうではありません。ここで問題なのは、脳内の「過剰な」成長です。

 赤ちゃんの脳は、すごい勢いで神経細胞を伸ばし、多くのネットワークを広げて、言葉や社会性、認知機能を発達させていきます。頭囲が急激に大きくなるASDのお子さんの脳では、特に前頭葉が「異常に」発達しています。前頭葉は読んで字のごとく脳の前の方にあり、状況に応じた判断など人間らしい様々な機能を司る前頭前野がその大部分を占めています。その中で、神経細胞が過剰に成長していると、神経細胞同士の連携が悪くなり、スムーズなネットワーク作りができなくなってしまうのです。そのため、いろんなことを瞬時に処理する脳の発達に障害が出てくる、というわけです。

 ただ、神経細胞のつながりは、周りの環境との相互作用で変わっていくため、周りの大人ができるだけ早い時期に特性に気づき、適切な働きかけをすることで、使われない神経細胞のつながりは減っていき、使われる神経細胞同士のつながりは増えて強くなっていきます。少し難しい言い方ですが、このような考え方をUse-dependentといいます。「使うことによる神経細胞の変化」という意味です。脳は使うことで発達していくのです。だからこそ、発達障害が疑われる場合は、早期診断・早期支援が重要になってくるというわけです。

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久保田競先生
1932年大阪生まれ。
東京大学医学部卒業後、同大学院で脳神経生理学を学ぶ。米国留学で最先端の研究を身につけ、帰国後は京都大学霊長類研究所で教授・所長を歴任。
『バカはなおせる 脳を鍛える習慣、悪くする習慣』『天才脳を育てる3・4・5歳教育』『あなたの脳が9割変わる!超「朝活」法』等、脳に関する著書多数。

原田妙子先生
福岡大学体育学部修士課程卒業後、久保田競に師事し博士号取得。海外特別研究員としてフランス国立科学研究センター(College France CNRS)認知行動生理学研究室、パリ第六大学 脳イメージング・運動制御研究室を経て、現在は浜松医科大学 子どものこころの発達研究センターの助教。専門は子どもの脳機能発達。

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